イヤイヤ期の2歳児が野菜を食べてくれなくて途方に暮れたときに知りたい情報をまとめました。
なぜ食べないのか、食べさせる方法にどんなものがあるか、食べないとどうなるのか、調理法以外でできることはないかを紹介します。
2歳児が野菜を食べない理由は?
子どもが野菜を食べないというのはよくあることですよね。食事をつくる側としては困ったものです。
でも、子どももただ気分で嫌がっているだけではないと知ると、少し対策しやすくなります。2歳児が野菜を食べたがらない理由をいくつかご紹介します。
小さい子は本能的に苦みが苦手
赤ちゃんはできることが少ないからこそ本能的に危険なものを避けて、安心なものを好むようになっています。腐っている可能性のある”酸味”や毒かもしれない”苦み”などはペペッと吐き出したくなるぐらい嫌うようにできているんですね。2歳と言えばまだ赤ちゃんを卒業するかしないかという年齢です。野菜を食べないのは普通というか、むしろ正常な証拠。
パパは危険な人じゃない、じいじも危険な人ではないと何度も泣きながら抱っこされて学んでいったように、お野菜も疑いながらなめてみたり、怖いけどか口に入れてみたりしていくうちに、食べても大丈夫だと分かっていきます。
大人よりも味覚や嗅覚が敏感
子どもは大人より味覚や嗅覚が鋭く、大人には薄味と感じるものもしっかり味を感じています。そのため、少しの苦味もものすごく苦く感じてしまい、小さく刻んだ野菜も敏感に察知してしまうのです。
前に口に合わなかった記憶や自分なりのこだわりがある
子どもはまだ野菜がどんなものなのかを覚えている最中。「緑のお野菜はまずい」と覚えてしまうと、まったく違う野菜でも同じ緑色というだけでおいしくないんじゃないかと警戒してしまいがちです。また同じ色でも形状が違えば、どれだけ「この間、喜んで食べたニンジンと同じだよ」と言われても、ホントに同じものなのか疑いの目を向けてくることもあります。
また、イヤイヤ期ならではの理由として、本人にしか分からない謎のこだわりができている可能性もあります。こればっかり食べるみたいなルールができてしまうと、本人のそのルールが更新されない限りは食べてくれません。
2歳にお野菜を食べてもらう方法
形状を変える:とにかく細かくする
基本的な作戦はやっぱり、とにかく細かくみじん切り。包丁で細かく切ってもいいし、フードプロセッサーで小さくしてもいい。小さくして口に入れやすく、噛み切りやすく、そして、見ためで警戒されないように細かくするのは第一歩ですね。
すでにパウダーやみじん切りになっているお野菜を活用すれば、調理の負担も減らせます。野菜スープや味噌汁なら野菜のエキスが溶け込んでるはずなので、とりあえず汁だけ飲んでもらうというのもアリですね。
味を変える:他の味で隠す、苦味が出ないようにする
海苔やご飯、チーズなどで巻く。ハンバーグや卵焼きに入れる。お好み焼きにするなど、他のものと混ぜたり、他の味で隠したりするのも定番の方法です。カレー味やマヨネーズ味など、子どもが好きそうな味付けにすると少しは受け入れてくれるかもしれません。にんじんケーキやかぼちゃの蒸しパンなど、お野菜系のおやつにすると、だいぶ食べやすくなるはず。
野菜によっては大根を下茹でするなどの下処理で苦味を抑えることもできますね。また、炒め物にすると、野菜が油でコーティングされて苦味を感じにくくなります。
食感を変える:調理法を変える
焼いていたものを茹でる、茹でていたものを焼く。すりおろして揚げる、レンチンでパリパリにしてみるなど、食感を変えると食べてくれることもあるかもしれません。
大人にはおいしいプチッとしたり、シャキシャキしたりする食感を楽しめてない可能性があるので、なめらかでゴツゴツしてない離乳食系の食感に近づけるのがよさそうです。
動機づけ:かわいくする、おいしそうに食べて見せる
型抜きや飾り切りで、すこし可愛らしく見せると食べてみるモチベーションになります。すりつぶしてお団子形状にしたり、小さなピックに串刺しにしたりしても可愛いです。相手は2歳児ですから完成度は高くなくても構いません。雰囲気がかわいい感じになって、ちょっと興味を持ってくれればこっちのもの。
また、子どもの前でおいしいねと食べてみせることも、子どもにとって安心や興味につながる……らしいですが、どうかな?
まぁ、どうにかして食べさせようとしていると「野菜食え〜」と怖い顔にはなっているかもしれないですよね。心に余裕がある日は「食べなきゃ食べないでいいよ、でもおいしいよ〜」というプレイをしてみてもいいのではないでしょうか。「はい、お野菜ちゃんお口にはいりまーす」「⚫︎⚫︎ちゃんの元気になりたいな〜」とか言って、お野菜さんの声をしてあげるのも面白いですね。一口、二口ぐらいならこの手でいける時もありますよ。
ハードル下げる:量を少なくする、観察タイムをとる
もう離乳食で一通り味は知ったでしょう、と思いますが、やっぱりまだ人生経験が2年、ごはんを食べ始めて1年ぐらいにしかならないので、未知なものも多いはず。なので、口に入れる前にじっくり観察タイムをとって、気持ちを整えてもらうということも必要です。大人だって、「栄養あるよ〜、意外とおいしいよ」とか言われても、コオロギのおせんべいなんて、ちょっと食べる前に一呼吸おきたいですもんね。
また、苦手なものが大量にあると気持ちが萎えてしまいやすいので、これで野菜を食べたと言えるのか?と言いたくなるぐらい小さくして、「これぐらいなら食べられそうじゃない?」「わぁ!すごい、1個食べれたね」というプレイで食べられる経験をつくるという方法もあります。
それでも2歳児に野菜を食べさせないといけないか?
とはいえ、そういう工夫だけで簡単に食べてくれたら悩まないですよね。野菜を食べさせる方法は大体やったよ、だけどダメだったよ、という方も多いのでは。そこで行き着くのが野菜を食べさせないとどうなるのか、という疑問です。
便秘に・・・なる?
野菜不足でイメージされるものの一つが便秘。食物繊維が足りなくて便秘になるのでは?という心配です。実際、2〜4歳って便秘が多く発生するそう。うんちがなかなか出ないと、もしかして野菜不足ではないかと気になりますよね。
もちろん、ごはんの内容も便秘には関係していますが、その原因の一部にしか過ぎません。この年齢に便秘が増えやすいのはトイトレが関係していることが多いそう。トイレがいやで我慢してしまい、出づらくなるという流れです。
野菜をちょっとでも食べなければすぐに便秘になるということではないので、野菜を理想的な量食べさせなければと思い過ぎる必要はなさそうですね。
参考:「小児慢性機能性 便秘症 診療ガイドライン」
味覚が・・・発達しない???
小さいうちから、たくさんの味覚を経験しないと大人になってから味オンチになるとも聞いたことがないでしょうか。人の味覚は3歳までに口にすることで覚えたものが一生を左右するんだそうです。でも、これも3歳を過ぎたらアウトということではないですよね。大人になった時に野菜好きの人は小学生の頃にたくさん野菜を食べていたという結果※などもあります。
単純に味を経験すればよいのなら、後で吐き出しても、脳みそには食べ物の味としてインプットされるかもしれません。
※参考…KAGOME VEGEDAY「子どもの野菜嫌い克服法とレシピ」
栄養が・・・不足する???
主食ばっかり、タンパク質ばっかりで、野菜を食べないと心配なのは栄養です。ビタミン、ミネラル系がちょっと不足しそうですよね。でも、野菜以外の食べ物にもビタミンやミネラルは含まれています。
とりあえず、お腹が満たされて、機嫌よく元気に遊んでいれば、身体を動かすエネルギーはとれているはず。爪やお肌、髪の毛が見たこともないほど荒れているとかでもなければ、今口に入ったものでどうにかなっているということだと思います。
しばらく食べなくても死なない
以上を考えると、どうしても出した野菜を全て腹におさめさせなければ、子どもが病気になってしまう、ちゃんとした大人になれないなんてことはありません。3歳、4歳と大きくなるにつれて、食べられるものが増えてくる可能性も高いので、鬼のような形相で口に突っ込むのが母の責務ではないということです。いつか食べられることを願って野菜を出すことを完全に放棄しさえしなければOKだと思います。
ご飯の時間以外にもできる野菜嫌いの克服
野菜嫌いが1年、2年単位で気長に付き合っていかなければいけない課題だとすると、がんばりすぎるのも考えもの。どうにかして食べさせようとしては食べなくてげんなりするのに疲れたら、ちょっと違う角度から切り込んでいくのもいいかもしれません。それは野菜に親しみを持ってもらう作戦です。
野菜が主人公の絵本を読んでみる
野菜そのものに興味を持ってもらうのにおすすめの絵本を3冊ご紹介します。
『おばけになりたいなす』、『おかしになりたいピーマン』、『おもちゃになりたいにんじん』
なす・にんじん・ピーマン。子どもたちに嫌われがちなお野菜がなんとか好きになってもらおうとしてがんばるシリーズです。「食べないとお野菜がかわいそう」と子どもを責める必要はないと思いますが、こんなふうに野菜の気持ちを考えてみて、「食べてみてあげる?」と声をかけたら、頑なに嫌がる気持ちもちょっととけるかもしれませんね。
『やさいのおなか』
やさいの外観と断面が大胆に描かれた絵本。人気の絵本なので見かけたことがある方もいるのでは。
白黒の断面図でなんだろう?とクイズ的な興味を持たせてくれます。ここに出てくる野菜は身近なものばかり。食卓にだした時に「絵本でみた野菜だね」と声をかけることもできそうです。知識と体験をリンクさせると、野菜への親しみもきっと深まっていくはず。
『にんじん』
こちらも名作絵本。ロングセラーなので、小さい頃読んだ記憶のある方もいるかもしれません。好きというポジティブな方向からアプローチするなら、「にんじんの すきなこ だあれ」で始まる、こちらの絵本もおすすめです。教育っぽい、押し付けがましいのは嫌だなという方にぴったり。
おままごと遊びで野菜に親しみを持つ
食べるのは嫌でも、おままごとなら楽しめるという子には、おままごとで興味を持ってもらうこともできます。
自分で切って、お鍋でコトコトして、お皿に盛り付けて、「はいどうぞ」をして。すぐには好きになれなくても、たくさん遊んで食べれる年齢まで嫌いにならないでいてくれたらいいですね。
お手伝いで野菜に触れる
おままごとの延長線で、食卓に出てくる前の野菜の姿に触れるのも、野菜に親しむきっかけになりそうです。とうもろこしの皮を剥いたり、野菜のへたを取ったり、レタスをちぎったり、もやしのひげをとったり。食卓に出てきた時に「さっきのアレだよ」と伝えると、ちょっとは興味を持ってくれるかも。
野菜嫌いは誰もが通った道。いつか色んなお野菜たちと仲良くなれるといいですね!